原題:Before the Devil knows You're Dead
邦題がいいとは言わないけど、
この原題、主人公が悪さして死ぬってオチがモロバレじゃないか。
クライムサスペンスなのにタイトルでネタバレってどうよと思っていたら
重要なのは家族関係の方だった。
犯罪自体は陳腐だし、そこから起こる悲劇が起こるのも無理からぬ話なんだけど、
結局主人公アンディが抱えてた心の問題が起こした、必然的な悲劇だったんだと思う。
父親からの愛を感じず、抑圧され、ダメダメな弟ばっかり可愛がられて疎外感を感じながら育ったアンディ。
優雅な生活を送ってるように見えて実は深い闇を抱えていた。
そんなアンディを演じたフィリップ・シーモア・ホフマンが本当にいい。
クズだったり破滅していったりを演じるのがめちゃめちゃ上手いと思う。
そしてダメダメクズを演じたイーサン・ホーク、
私的にだけど、主役をやる時の彼及びその映画はハズレだったりするけど、
脇やらせるといいなぁ、この人。
ヤな奴や執念深い奴の役がいいと思ってたけど、ダメダメクズの役、めっちゃいい!
こういうイーサン・ホークはめちゃめちゃ好きだわ。
これが遺作となった監督シドニー・ルメット。
『十二人の怒れる男』の人かー!って相当歳やん!
84歳でメガホンを取るなんて、映画への情熱を感じるな。
コーエン兄弟もクズを描くのが巧いけど、
あっちは腹立つドクズで、
こっちは気の毒クズ。
しかも、人間誰しもこういう部分がありそうなクズ。
そういう面を引き出し、俳優の良さを何倍にも引き出したシドニー・ルメット、
本当に凄いです。